「債券」とは、国や企業、または外国の政府や企業などが、一般の投資家からまとまった資金を調達するために発行するものです。
簡単に言えば借金ですが、債券を発行する側(お金を借りる側)が、お金の出し手に利息を支払うことと、満期時にお金を返すことが決められています。
投資家側からすると決まった日に利子を受け取ることができ、満期日を迎えると額面金額である償還金を返してもらえます。
そのため、債券は株式に比べて安全性の高い金融商品と言われています。
このような特徴から利子収入を目的に資産運用をする人に好まれます。
また、満期日まで待つことなく中途売却も可能です。
ただし、債券の価格は株式などと同じように日々変動していますので、償還(満期)の価格より安く買えた場合には、購入価格と償還金との差額金を得ることができることがある反面、逆の場合には元本割れすることもあり得ます。
さらに、償還前に債券を発行している国や企業が破綻してしまった場合には、利息どころか元本自体も返ってこないこともあります。
そこで今回は、債券投資に関する基本的なことを説明していきます。
◇ デフォルトってなに?
◇ 格付けってなに?
国債・社債・外国債の違いは?
国債とは?
国債は、国が発行する債券です。国が潰れなければ、利息と元本が戻ってくるので信用力が一番高いと言えます。
富裕層や機関投資家と呼ばれる金融機関などが資産運用のベースに据える金融商品として流通していました。
しかし、最近では、個人向け国債という、新しいタイプの国債も発行されていて、この国債は、
1年以上持てば換金可能ということや、1万円からでも投資が可能にもなっていて、名称通り個人投資家にも買い付けがしやすい債券になっています。
金利の受け取りに関しても、変動金利、固定金利のタイプがあります。
社債とは?
社債は、企業が発行する債券のことです。通常は国債よりも金利が高くなります。
理由としては、そもそも社債の金利は国債の金利水準を参考に決めらるからです。
つまり、その国において一番安全性の高い債券は国債と言うことになり、社債は各企業ごとの財務内容などにより、金利が変わっていきます。
安全性が高い企業の社債は金利が低く設定され、安全性に不安がある企業の金利は高く設定されることになります。
当然、その時の金利情勢によりことなります。
外国債券とは?
外国債券とは、日本以外の国・地域・企業が発行する債券です。
ほとんどが、その国の通貨、いわゆる外貨建てで発行されるため、為替リスクがセットでついてきます。
しかし、ここ数年来、日本よりも金が高い国が多いので、為替リスクがある反面、金利も高く設定されているので、富裕層の間では人気の金融商品でもあります。
外国の国債も外国債券ですし、外国の企業の社債も外国債券となるので、外国債券と言っても、非常に範囲が広いものとなります。
ハイ・イールド債とは?
外国債券の中でも、ハイ・イールド債という債券があり、これは他の外国債券と比べて金利が高いことで知られています。
金利が高い理由は、債券の中でも格付けが低く、ジャンク債などとも呼ばれる債券でもあります。
格付けとは、発行される債券の元本や利息の支払い能力の安全度にランクをつけることです。
格付け会社は、いくつかありますが、アメリカのS&P(スタンダード&プアーズ)やムーディーズ(Moody’s)が有名です。
S&Pの例で言いますと、
AAA(トリプルA)、AA(ダブルA)、A(シングルA)、BBB(トリプルB)
という順にランク付けされ、AAAが一番安心・安全ということになります。しかも、各々に「+」や「-」をつけて細分化しています。
「AAA+」という表記がついている債券が最高ランクとなります。
BB(ダブルB)以下の債券をジャンク債や投機適格などと呼び、金利は高いですが、倒産などのリスクが高くなってきているというように見ます。
ちなみに、ハイ・イールドとは、「High Yield」と書き、Highはご存じ、高いという意味で、Yieldは収益や利回りという意味です。
投機的要素があると言うことなので、倒産する可能性はBBB以上の債券よりは高いと言うことです。
当然、そういう企業が債券を発行して借金しようとすると、高い金利を払わないといけないことになります。
数年前までは、世界的に超低金利状態であったため、このハイ・イールド債も脚光を浴びていました。
ただし、それなりのリスクはあるとお考え下さい。
新興国債券とは?
新興国債券も高利回りで有名な債券です。
新興国は、言ってみれば先進国以外の債券です。新興国の通貨建てで発行されるものも多く、特に、ブラジル、トルコ、南アフリカ、メキシコなどは、金利も高く通貨の値動きもあるので、リスク志向の人には人気ですが、政情不安や経済の不安定さから、一度動き出すととんでもない下落をするので、十分なリスク許容のある人だけが検討すべき債券かと思います。
しばしば先述のハイ・イールド債に分類されることもあります。
つまり、ハイリスク・ハイリターンの債券と言うことになります。
ハイ・イールド債、新興国債に投資する際に、注意しておかないといけないのが、デフォルトという言葉です。
デフォルトとは?
デフォルトは債務不履行のことで、パソコンやスマホなどの初期設定のことではありません。
主に、償還の期日が来ているのに元本が返せない、利払いが滞る、などがあげられます。
過去にはアルゼンチンがデフォルトを起こしました。
近年では、ギリシャの数回における債務再編などでも市場が大混乱しました。
ギリシャ・ショックなどと言われました。
昨年度(2023年)には、スイスの名門金融グループのクレディスイスの債券も事実上の破綻で無価値化したことは記憶に新しいです。
まとめ
以上のように、債券投資は株式投資に比べて安定的とは言われますが、投資先を慎重に見極める必要があります。
外国債券をはじめ、ハイ・イールド債(ジャンク債)、新興国債などは、ある意味、日本や先進国の株式以上の下落をすることもあり得るので、かならず専門家に相談して、投資の是非を決めるべきです。
専門家といっても、FPやIFAと言われる、公平・中立な助言をしてくれる人です。
ただし、FPは個別の債券についてのアドバイスなどは法律により禁じられていますので、IFAに相談することが無難かもしれません。
どこのIFAに相談したらいいか悩まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、FPドットコムでは、IFAを含めた資産運用に関するアドバイザーもご紹介できますので、ご関心のある方はお気軽にご相談ください。