国民年金基金は、会社員に比べて年金(老齢年金)が少ない自営業者やフリーランスの老後の所得保障を目的に導入された制度です。
加入できるのは国民年金の第1号被保険者のみで、会社員の人は加入できません。
自営業やフリーランスの人対象とお考え下さい。
国民年金基金に加入すると、税制上のメリットがあり、その掛金は負担した全額が社会保険料控除として所得控除を受けることができます。
人生100年時代と言われる現代では、老後に向けての資産形成のためには利用を検討してもいい制度と思います。
そこで、今回は国民年金基金の特徴について簡単にご紹介します。
掛け金の上限はいくら?
国民年金基金の掛け金の上限は月額で68,000円です。
年間で816,000円という枠があるのですが、注意点があります。
個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)の掛け金の合算となります。
自助努力で資産形成を促すなら、もっと上限を上げてもいいとも思いますが、決まり事なので仕方ありません。
掛け金は全額所得控除
しかし、この国民年金基金の掛け金は支払ったお金を全額所得から差し引くことが可能です。
社会保険料控除になり、節税効果があります。
確定申告の際には、社会保険料控除の項目に記入します。
![](https://zenny.jp/topics/wp-content/uploads/2024/03/社会保険料控除-1024x434.png)
所得から差し引けるということは、税金がその分やすくなるので、手取り額がアップします。
資産形成もしながら、節税もできる良い制度と思います。
国民年金基金には何歳から加入できるのか?
この制度には、原則として、20歳から60歳までの自営業者等が加入できます。
ただし、基礎的な年金である、国民年金の保険料を免除されている方などは加入できません…
国民年金と国民年金基金との違いを理解していない人にとってはややこしいかも知れません。
国民年金はいわゆる1階部分、国民年金保険は2階部分と言われることがあります。
![](https://zenny.jp/topics/wp-content/uploads/2024/03/厚生年金と国民年金.jpg)
≪国民年金基金連合会HPより≫
国民年金基金への加入手続きはどこでするのか?
全国国民年金基金所在地か、職能型国民年金金所在地でできますが、郵送での手続きも可能です。
各都道府県に受付事務所があるので、そこに必要書類を送付することで手続きできます。
こちらで確認できます! ⇒ https://www.npfa.or.jp/procedure/flow.html
ちなみに、職能型国民年金基金は、歯医者・弁護士・司法書士の人たちが対象の基金です。
何歳から受取ができるのか?
国民年金基金は65歳から受取が可能になります。
加入タイプによっては、60歳からも可能ですが、受取額が決まっている確定年金の場合のみです。
この国民年金基金は、国が運営しているので結構メリットも多くあります。
一つは、終身年金で受け取れることです。
つまり、生きている間ずっと年金を受け取れます。
そのメリットを生かすためにも、65歳から受け取れるタイプで加入を検討するのが基本になるかもしれません。
ちなみに、国民年金基金は、1口だけでも、2口以上でも上限額まで金額が許す限り加入できます。
ただし、1口目は必ず終身年金を選択する必要があります。
2口目以降は、
A型:15年保証付き終身年金
B型:保証期間なしの終身年金
Ⅰ型:65~80歳支給の15年保証付き確定年金
Ⅱ型:65~75歳支給の10年保証付き確定年金
Ⅲ型:60~75歳支給の15年保証付き確定年金
Ⅳ型:60~70歳支給の10年保証付き確定年金
Ⅴ型:60~65歳支給の5年保証付き確定年金
の中から任意に選択可能です。
これ見たら、検討するのがちょっと嫌になるかも知れませんが、問い合わせたら詳しく教えてくれます。
しかも、加入時の年齢によって、掛け金も変わります。
若いうちに加入すると1か月あたりの掛け金は安くなります。
自営業者から会社員になったらどうなるのか?
冒頭より、この国民年金基金は自家業など、国民年金の第1号被保険者しか加入できないとお伝えしておりますが、自営業から会社員になった場合には、厚生年金に加入することになるので、国民年金基金の加入資格を失うことになります。
ただし、今まで支払っていた掛け金は、額に応じて将来の年金として給付されます。
生命保険などのように、中途解約の一時金などはもらえないので要注意です。
まとめ ~掛け金を少しでも多く捻出するには?~
節税と資産形成を同時にできるとは言え、実際には掛け金は自分自身で支払わないといけません。
節税できても無理があれば長続きしません。
そのために、いま加入している各種制度や生命保険などの兼ね合いも見て、マネープランをしっかりと検討しないといけません。
税理士やFPなどの専門家に相談して、事業の無駄の見直しや家計の見直しもしながら、少しでも将来のために掛け金を多く拠出できるようにしていくことが望ましいと思います。
FPドットコムでも、自営業者の方やフリーランスの方の資産形成について、ご質問をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。