新NISAをザックリ知ろう! 「枠」によっては買えない投信がある?

2024年からNISA(少額投資非課税制度)のルールが変わり、いわゆる「新NISA」がスタートしました。

国が資産形成・資産運用を後押しする制度が大幅に改善されて話題になっていますが、簡単そうで少し複雑な仕組みになっています。

改善された大きな点は、「枠」の拡大です。

最大で、1800万円までの投資元本が生み出すリターンが非課税になることです。

今回は、新NISAの2つの枠によって買付ができる・できない投資信託や、それぞれの枠のルールの違いについて解説します。

新NISAには2つの「枠」がある

つみたて投資枠と成長投資枠

つみたて投資枠

つみたて投資枠はその年の1月から12月までの1年間で、年120万円の枠が設けられています。

つまり月額10万円までの積立投資に対する利益が非課税になります。

名前の通り、積立投資をする投資家向けの制度で、選択できる投資信託も以下のように一定のルールが設けられています。

・分配金が毎月支払われないファンド

・販売手数料がゼロのファンド

・信託報酬が一定水準以下のファンド

これらの条件を満たす約270のファンドが、つみたて投資枠の投資対象となります。

成長投資枠

一方、成長投資枠は、年240万円の枠が設けられています。

こちらの枠には、つみたて投資枠よりもルールが緩和されていますが、以下のルールーが設けられており、それらの条件を満たした金融商品が投資対象となります。

・株式、REIT、投資信託など

・投資信託は以下の条件を満たしたもの

 分配が毎月支払われないファンド

 ヘッジ目的以外でデリバティブを使用していないファンド

 信託期間が20年以上のファンド

各々の枠や、年間上限額、さらには全体の上限額なども把握して投資する必要があります。

よくある誤解 つみたて投資枠の上限と成長投資枠での積立投資

つみたて投資枠は1800万円まで使える

新NISAは、2つの枠を併用できるため、良く誤解している人がいます。

つみたて投資枠と成長投資枠は、各々、年120万円と240万円という年間の上限額が設けられています。

そして、成長投資枠は全体で1200万円を超えてとうしすることができません。

これらのことから、つみたて投資枠は残りの600万円が上限額になると思っている人も多いようです。

しかしながら、トータルの制限枠である1800万円のうち、上限があるのは成長投資枠のみで、つみたて投資枠にはありません。

つまり、年120万円の投資枠を上限まで使ったとしても、成長投資枠を使わなければ15年間つみたて投資枠の枠内で投資することが可能になります。

積立投資枠を最大限使った場合は、120万円 × 15年 = 1800万円(上限額)となります。

成長投資枠でも積立投資は可能

成長投資枠は一括投資のイメージを持っている人も多いようです。

しかし、成長投資枠ないでの積立投資は可能です。

つみたて投資枠よりも幅広い金融商品に投資することが可能なので、より多様な投資を積立形式で実施することができます。

ただし、成長投資枠は、年240万円と全体で1200万円という上限額があることにも留意が必要です。

ETFはNISAで買えるのか?

つみたて投資枠は、積立投資による資産形成を支援するために作られた制度のため、信託報酬が非常に低く抑えられているファンドのみが投資対象になっています。

ETFも信託報酬が低く抑えられていますが、現状ではつみたて投資枠内で買付できるETFは、4月30日時点で8本となっています。

そして、ETFは毎月5,000円、10,000円というような、定額で買うことはできず、「口数」を指定して買付することになるため、積立投資において大原則となる「ドルコスト平均法」が厳密には働かないことも注意が必要です。

ETFは海外のものも含めて非常に多様な投資対象をカバーしていますが、つみたて投資枠の対象外のETFは、成長投資枠を利用して買付する必要があります。

どちらの「枠」を優先すべきか?

2つの枠を利用する際に、どちらを優先すべきかで悩む人も多いかもしれません。

どちらにもメリット・デメリットがありますが、一括投資を考えている人は成長投資枠を利用すべきでしょう。

そもそも、つみたて投資枠では一括投資ができないため、選択肢は成長投資枠のみになりますが、投資経験が豊富な人や、個別の銘柄を選定して投資する人は成長投資枠での投資が向いていると思います。

これから資産形成を始める人は、まずはつみたて投資枠でインデックスファンドによる分散投資が向いていると思います。

相場観をもとにしたタイミングを狙った投資はできませんが、長期分散投資に加えて時間の分散も使うことによりリスクを軽減しながら資産の成長を期待できます。

その中で、経済や金融の知識が身に付いてきて、個別の銘柄などに関心を持つようになってから一括投資も交えた投資をすることも一案です。

まとめ

資産運用・資産形成を始める際には、まずはNISAの口座を作って、NISAの枠を使い切ることが第一歩となります。

せっかく、利益に対して非課税の制度があるのに、使わない手はありません。

投資経験が豊富な方で、高度な金融商品に投資する人にはNISAは向きませんが、一般の個人投資家はNISAを大原則として投資することをお勧めします。

資産運用・資産形成において、パフォーマンス向上を阻害する要因は、「コストと税金」です。

この2つの要素がない、または軽減されている制度をぜひ利用してほしいものです。

 

FPドットコムでは、新NISAをはじめ、資産運用・資産形成についての相談もお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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