FXとは、「Foreign Exchange」という英語の略で、外国為替証拠金取引のことです。
外為(がいため)とも呼ばれています。
アメリカドルやユーロなどの外国通貨を売買し、その差益から生じる利益を得ることを目的に取引する人がほとんどでしょう。
投資元本の数倍から数十倍の金額で運用できる「レバレッジ」や、「スワップポイント」という利息のような収益を得られることが大きな魅力です。
FXの取引は預貯金などと異なり、為替レートの変動によっては投資した金額を下回ることもあるリスク商品であるということです。
株式投資と同じで、市場の混乱期には大きな変動をすることがあるのも特徴です。
既にFXに取り組まれている人はこのような事は知っているでしょうが、これから始めようかなと思っている人には、必ず知っておくべき基本的な事や注意すべきことがあります。
今回は、その基本的なことなどについて説明していきます。
FXは儲かるのか?
FX取引する上での一番の関心事がこれだと思います。
儲からないなら投資しないのは当たり前ですが、FXは通貨と通貨の強弱を見て投資し、その差を利益の源泉にします。
アメリカドルに投資するなら、円を売ってアメリカドルを買うと言うことになります。
アメリカドルは世界の基軸通貨と言われ、取引量が最も多い法定通貨です。
そのため、世界中の投資家や、ビジネスでアメリカドルを決済に使う事業者がその動きに注目しています。
日本人からすれば、円高(ドル安)の時に買って、円安(ドル高)の時に売れば利益が出るのですが、逆の動きになれば損失を被ります。
つまり、為替リスクがあるということです。
FXには為替リスクがある
リターンがある反面、リスクもあるといことが投資では大原則になります。
つまりリスクとリターンは表裏一体ということです。
FXは通貨に投資するので、株式投資と異なり通貨間の相対的な評価ということになります。
その国の経済情勢や、地政学リスク、政局などによって通貨の値段は変動します。
しかも、ほぼ24時間動いているので、動きを追い続けることは難しいと思います。
ただし、FXの取引を行うには、スマートホンのアプリも充実させている会社も多く、いつでもどこでも投資できるという利点もあります。
そのために、短期的な取引にのめりこんでしまう人が多いのも確かです。
スワップポイントとは?
たんに「スワップ」と呼ばれることもあり、2通貨間の金利差によって得られる、銀行の利息のようなものと考えれば理解がしやすいと思います。
銀行預金のように、年に数回と言う訳ではなく、基本的に毎日、日割りで計算されて付与されます。
金利の低い通貨から金利の高い通貨に対して投資した場合にもらえるということになるので、逆の場合には支払うことにもなるので、注意が必要になります。
最近の状況ですと、円からアメリカドルに換える、円から新興国通貨に換えるなどのという取引をすれば、スワップポイントがもらえることになります。
しかし、FXは円買いと呼ばれる取引をすることも可能で、そのような場合は、アメリカドル売り円買いとなり、円高になれば利益が出るという、少し馴染みのない状態になります。
為替取引の世界では当たり前のことなのですが、このような取引をしている時には、金利の高いアメリカドルを売って、低い日本円を買っているので、スワップを払うことになります。
スワップポイントを、「もらえるのか」「払うのか」は、各FX業者のホームページや、スマホアプリで確認できますので、必ず事前に確認しておくべきでしょう。
レバレッジとは?
FXで取引する際の最大の魅力であり、最大のリスク要因である、レバレッジについてです。
簡単にいえばテコの原理を使う感じなのですが、少額の手持ち資金で何倍もの金額の取引ができます。
金融庁の規制により、国内のFX業者で取引する場合には、レバレッジの倍率が25倍までと規制されています。具体的には、100万円の資金で、最大2500万円の取引が可能になるということです。
予想が当たれば、小さな資金で大きな利益を得ることが可能ですが、リスクとリターンは表裏一体の関係になるので、予想が外れれば大きな損失を被こともあり得ます。
一例として、投資対象が5%値上がりしたら、レバレッジが効いていないケースであれば、以下のようになります。
100万円 + 5%(5万円)= 105万円
この取引に25倍のレバレッジを利かせると以下のようになります。
2500万円 + 5%(125万円)= 100万円(投資元本)+ 125万円(利益)
この場合、当初の投資元本100万円と、取引から得られた利益の125万円を合わせた合計は225万円となります。
投資元本が2倍以上になるということです。
しかし、逆の場合も考えてみましょう。
25倍のレバレッジで、5%下落すれば、以下のようになります。
2500万円 -5%(▲125万円)+ 100万円(元本)= ▲25万円
当初預けていた資金よりも損失の金額の方が大きくなってしまします。
実際には、システムでそうなる前に強制的に損切りするような設計になっているのですが、極端な乱高下を繰り返すような為替市場の時には、このような事も過去には発生しています。
したがって、レバレッジは利かせれば利かせるほど、リターンが期待できますが、損失時にはとんでもない損失を被るということも覚えておく必要があります。
FXの税制は?
FXの税制はついてですが、申告分離課税の対象になり一律20%の税率で課税されます(復興税があるので、実際には20.135%)。
1月から12月までを通して100万円の利益が出たら、「20万円」を納税しないといけないことになります。
注意点は、株式などと異なり、自動的に税金を差し引いたりしてくれないので、確定申告が必要になります。
金額によっては申告不要のケースもありますが、年収が2000万円こえている会社員の人は必ず申告しなければなりません。
損失が出ている場合にも確定申告することにより、翌年から3年間はその損失が繰り越せるので、翌年以降に利益が出ても、損失額までは相殺が可能となります。
FXにおける必要経費は?
最近では、メディアやSNSなどで専業トレーダーという人も多くなってきているのが見て取れます。
FX取引を生業としている方のことですが、他の事業と同様に必要経費にできるものがあります。
例として、
インターネットの通信料
セミナーの参加費や、会場までの交通費など
情報を得るための書籍などの購入費
FX業者や投資顧問業者などに支払う手数料や報酬
FX専用のパソコンの購入費や設備費用
あくまでも、FX取引に関連するものでないといけないでしょうが、これらを経費として計上する際には必ず、税理士か所轄の税務署で確認しながら処理するようにしてください。
経費として認められなければ、追加で不足分の税金を課税されることになります。
注意深く進めるようにしてください。
スプレッドとは?
アメリカドルを例に出しますと、アメリカドルを買う時と売る時の価格の差です。
実際のパソコンやスマホの取引画面だと以下のように表示されています。
この画面でいうと、左側がBIDレートといい、アメリカドルを売る値段になり、右側がASKレートといい、アメリカドルを買う値段です。
差額は、1ドルあたり0.02円となり、これをスプレッドといいます。
スプレッドは売買コストになるので、アメリカドルを買った瞬間に、スプレッド分がマイナスになるということです。
アメリカドルやユーロのスプレッドは小さく、トルコリラや南アフリカランドなど、新興国の通貨はスプレッドが比較的大きくなっている傾向があります。
どういうところでFXの取引ができるのか?
これは外国証拠金取引業者で口座を開いて取引することになりますが、各事業者によって特色が異なるので、良く調べる必要があります。
証券会社、商品先物業者など、いろいろな事業者がこのFX業界に参入しています。
業者の選定理由としては、
スマホのアプリが使いやすい
スワップポイントをたくさんくれる
売りと買いの差(スプレッド)が小さい
などが選択する際に重視する点でしょう。
チャート分析とは?
実際に取引する際に、チャートというものを見て投資判断をすると思います。
チャートとは、値動きをグラフで示したものです。
このチャートの動きを見て、過去の動きから将来の価格を予想したりして取引をするのですが、いろんな見方を駆使して分析することを、テクニカル分析と呼びます。
テクニカル分析を駆使して利益を得ようとする人を「チャーチスト」などと呼ぶこともあります。
このテクニカル分析は数多くの手法が存在し、それぞれ売買シグナルを見極めるのは研究を重ねるしかないと思います。
代表的なものは、以下のようなものです。
オシレーターとトレンドの違いは何ですか?
「トレンド分析」は、相場の全体的な流れをみるために用いられ、「オシレーター分析」は、相場の過熱感を見て、買われ過ぎ・売られ過ぎを判断するために用いられます。
実際には、複数のテクニカル指標を組み合わせて取引する人がほとんどだと思いますが、その通りに相場が動くわけではありませんので、一つの参考指標として使うのがいいかもしれません。
まとめ
FX取引は、資産運用の世界では非常に身近な存在になってきていることは間違いありません。
ただし、のめり込みすぎて相場の急変時に多額の損失を被る人が多発していることも事実としてあります。
レバレッジの度合いによって、リスクが増幅されることもあり、使い方次第では非常にハイリスク・ハイリターンな取引となることも十二分に理解しておくことも必要になります。
これからFX取引を始めようとする人は、
自分に合った取引のスタイルを見つけること
お金の流れについて研究しながら取り組むこと
これらを理解して、投資のつもりが「投機」にならないようにすることをお勧めします。
変動幅が大きいと言うことは、チャンスとピンチが同時に存在していると言えます。
SNS上の甘い話に安易に乗らず、一歩ずつ大切な資金を運用していってほしいと思います。
FPドットコムでも、資産運用全般の相談をお受けしていますので、お気軽にご相談ください。