外貨投資の入門編としての外貨建てMMF。低コストで高金利な金融商品です。

円安が続くと家計への影響が懸念されますが、一方で外貨投資への関心度合いも高まってくることもあります。

国内の金利はマイナス金利が解除されたとはいえ、まだまだ資産運用においては物足りない金利水準であることは間違いありません。

一方で、外貨での資産運用に目を向けると、かなり高金利な金融商品も数多く存在します。

今回は外貨投資において、安全性が高く、低コストで高利回りな商品でもある、「外貨建てMMF」について説明します。

外貨建てMMFとは?

外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)は投資信託の一種で、安全性の高い公社債に投資をするファンドです。

政府が発行する短期証券や、高格付けの企業だけが発行できるCP(コパーシャルペーパー)などを中心に運用されています。

元本割れの可能性が極めて低い証券に投資しているため、外貨建てMMFも非常に安全性が高い投資信託になっています。

ただし、絶対に元本が割れないというわけではありませんので、この辺りは注意が必要です。

手数料はかかるのか?

購入時の手数料は不要です。そのため、いつ解約しても手数料がかからないので、資金の引き出しが容易になります。

ただし、円から外貨建てMMFを買い付ける際には、為替手数料が必要になります。

この手数料はファンドを買い付ける手数料ではなく、あくまで為替取引に要するコストになります。

この為替の手数料も、銀行の窓口で為替取引するよりも低く設定されており、アメリカドル建てのMMFを円から買い付ける際には、1ドルあたり25銭程度の手数料で済みます。

さらには、ネット証券で口座を持っている場合、系列のネット銀行経由で為替取引をしたのちに、無料で証券口座に外貨をシフトできるサービスもあるので、さらにコストを下げて取引することが可能になります。

外貨建てMMFはどこで買えるのか?

MMFは有価証券の一種になるため、証券会社が取り扱いをしています。ただし、銀行も投資信託の窓販をしているので、大手銀行等でも取扱いをしています。

最近はネット証券を通じて購入する人が増えているようです。

なぜ高金利なのか?

外貨建てMMFは、短期金融商品にて運用しています。短期金融商品はその国々の短期金利(政策金利)をもとに利率が設定されることから、日本以外の国は利上げの影響で、短期金利が上昇しています。

主要各国の政策金利は以下の通りです。

日本と比較すると、他の国は高金利であることがわかると思います。

これらの金利情勢で短期証券で運用すると、高利回りのMMFが出来上がるという訳です。

ネット証券最大手のSBI証券と対面取引主体の野村証券で取り扱う外貨建てMMFの一覧は以下の通りです。

トルコリラ建てのMMFの利回りが突出していますが、トルコは深刻なインフレ問題と経済の不安定さから大幅が利上げが実施されたためです。

このような不安定な国の通貨は値動きが非常に激しいこともあり(下図参照)、先進国通貨よりもリスクが高いということも注視しなければなりません。

トルコリラの対円チャート

銀行の外貨預金と比べてどちらが高金利か?

通常は、外貨預金よりも外貨建てMMFの方が金利が高くなる傾向があります。

理由としては、銀行は集めた資金を運用して、利益の一部を預金者に利息として還元する一方、MMFは投資信託なので、運営管理にかかるコスト以外はすべて投資家に還元されるためです。

しかも、MMFは短期金利を即座に反映することから、利上げ局面では一層その傾向が強まります。

ただし、MMFは元本保証ではない金融商品であり、外貨預金は外貨ベースで銀行が保証している点が大きく異なります。

外貨建てMMFはいくらから購入できる?

SBI証券をはじめ、多くの証券会社では、アメリカドル建ての場合は、10ドルから買い付けできます。

現在の為替レートでは、1,500円くらいから投資できるということです。

直接円から買い付ける場合は、最低金額が5,000円からになるところもあるので、HP等にて確認することをお勧めします。

外貨建てMMFのリスクは?

有価証券の一種であるいじょう、元本の欠損リスクはゼロではありません。

また、外貨投資になるため、買い付け時の円評価額と比較して、為替レートによっては損失を被ることもあります。

アメリカドルの場合では、買い付け時のレートよりも円高・ドル安になると評価損を抱えることになります。

どんな場合に外貨建てMMFを利用する?

単純に高金利を狙う投資として利用されることはもちろんですが、富裕層の間では一般的な外貨の受け皿商品となっています。

米国株式や米ドル建て債券を売却した際など、円に戻さずにドル建てのMMFに預けておくというのは一般的になっています。

理由としては、証券会社の口座に預けていても金利が付かないためです。証券会社は投資の取次ぎを業務としており、銀行のように利息を付ける業務はできません。そのため、ドル建てをはじめとする外貨建てMMFは次の外貨投資までの間の待機場所になっているのです。

また、他の投資信託と同じように、積立投資をすることも可能です。毎月決まった金額で継続して買い続けることで、ドルコスト平均法が使えます。

将来に向けて外貨を準備するには、MMFを使っての積立投資は良い選択肢になるかも知れません。

外貨建てMMFは税金がかかるのか?

・売却益に対する課税

 外貨建てMMFの売却益に対しては、解約時の為替差益に対し20.315%の税率で申告分離課税が適用されます。

・分配金に対する課税

 分配金に対しても20.315%の税率が適用されます。総合課税を選択することはできません。

 支払の際に源泉徴収されて課税が終了する「確定申告不要制度」が適用されており、株式(現物・信用)取引の譲渡損失と損益通算することも可能です。

まとめ

このように、外貨建てMMFはリスクはあるものの、外貨投資の入門編として利用するのも一案です。

株式投資のようなリスクは取れない人でも、比較的値動きの少ない通貨に投資し、日本円よりも高い金利を得ながら長い期間運用するのにも向いているかもしれません。

ただし、利息はその時の金利情勢を反映しているため、常に高金利ではないことも理解して投資するようにしましょう。

FPドットコムでも、外貨投資をはじめ資産運用・資産形成の相談をお受けしていますので、お気軽にお問合せ下さい。

 

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