毎月分配型投資信託とは? どんな投資家層に向いているのか?

毎月分配型投資信託は、投資先から得られる配当収入や利子収入を減資として、毎月投資家に分配金を支払う投資信託です。

定期的な収入が得られることから、ブームになった時期もあります。

ただし、無理に分配金を支払い続けたため、投資信託の元本自体が著しく既存していたりと、問題も多く抱えていた時期もありました。

それでも、この毎月分配型投資信託は今でも一定層の支持を集めていることも確かです。

今回は、毎月分配型投資信託が、その投資家層に向いているのか、そして、投資するにあたってのメリット・デメリットについて解説します。

毎月分配型投資信託の仕組み

出所:日本証券業協会HPより

他の投資信託と同様に、分配金は投資信託の純資産の中から支払われます。

そのため分配金が支払われると、その金額相当分、基準価額が下がることになります。

この分配金を毎月投資家に支払っていくのが大きな特徴になります。

ただし、分配金の額は、投資信託の運用状況に応じて変動するため、運用状況が芳しくないときは分配金を出さないこともあります。

毎月分配型投資信託の種類

株式型

配当が多く見込める株式に投資し、配当金や値上がり益を分配金の支払い原資にするタイプです。

「高配当」と呼ばれる銘柄が投資対象になり、分配金額が多いのが人気の理由ですが、投資対象の企業業績に依存することになり、対象株価が低迷すると、投資信託の基準価格が下落することもあり、リスクも高くなります。

債券型

国内外の債券に投資し、利息収入を減資にするタイプです。

他のタイプと比較して比較的安定した収益が期待できますが、その分利回りも低くなる傾向があります。

ただし、ハイイールド債と呼ばれる債券に投資するタイプは、投資対象の格付けが低かったり、通貨の値動きが不安定なために、ハイリスク・ハイリターンであることも注意が必要です。

REIT(不動産投資信託)型

REITから得られる賃貸収入を原資とした分配金をもとに、投資家に還元するタイプです。

REITが株式と債券の中間的な位置づけのようになるため、ミドルリスク・ミドルリターンと言われることもあります。

不動産市場の動向に価格が左右され、金利上昇にも弱いとされています。

その他

バランス型

他にもバランス型と呼ばれる、株式・債券・REITなどを組み合わせて、リスクを抑えつつリターンを狙うタイプもあります。

通貨選択型

そして、投資対象とは異なる金利の高い通貨を利用することにより、為替益をプラスアルファのリターンを狙うタイプもありますが、リターンの半面、リスクも伴うため、思ったような成果を得られないこともあります。

このタイプは仕組みが複雑になることもあり、商品に対する理解度が乏しい場合は、投資対象として選択肢から外すことも考えるべきです。

メリットとデメリット

メリット

定期的な収入

毎月、分配金が得られるため、安定した収入源として活用することが期待できます。

リスク分散

株式型や債券型などを組み合わせて運用することにより、分配金額の多寡はあるにしても、市場変動に柔軟に対応した運用が可能になります。

デメリット

分配金の減少リスク

市場環境が悪化すると、分配金が減少することがあります。

株式型は、企業業績の悪化による減少リスク、債券型は金利低下による減少リスク、リートは不動産市況の悪化による賃料現象が分配金額の低下につながることがあります。

元本割れのリスク

投資信託である以上、運用環境によっては、投資元本を下回る可能性があります。

複利効果が働かない

毎月、分配金を支払うため、投資信託の純資産の成長過程であっても、毎月利益の一部を受け取っていくことになるため、「お金がお金を生む」という複利の効果が働きにくくなります。

また、分配金には支払いの都度課税されることもあり、このコストも複利効果を低下させる要因となります。

普通分配金と特別分配金の違い

普通分配金

投資信託の運用収益から支払われる分配金です。

支払われた分配金は、所得税・住民税を合わせて20.315%の税金が課されます

再投資する場合には、税金を差し引いた残りの金額で再投資することになります。

特別分配金

投資信託の元本部分から支払われる分配金です。

元本の払い戻しとなるため、特別分配金に対しては課税されません。

ただし、運用状況に関わらず支払われている特別分配金は、原本を削っているだけという実態もあるため、元本の欠損リスクのひとつでもあります。

毎月分配型が向いている投資家層とは?

このタイプの投資信託は、資産の成長よりも分配金の支払い継続に焦点を当てていることが特徴です。

そのため、リタイヤしている層や、資産をある程度持っているシニア層の資産運用には人気の選択肢です。

ただし、特別分配金を頻繁に出している投資信託は資産の運用効率が悪いこともあるので、目先の分配金額だけを見ずに、投資信託の運用状況も良く確認しておくことが必須になります。

まとめ

毎月分配型投資信託は、年金の上乗せ手段として、30年ほど前から登場しました。

ただし、コストが高い事や、特別分配金などを頻繁に払ったことから、金融機関が金融庁から販売方法を是正するように指導されたこともありました。

商品の仕組み上、若年層・現役世代の資産形成には不向きとも言えます。

若年層でも資産をある程度保有している層には向いているかもしれませんが、流行り廃りのあるタイプを選んでしまうと、思ったような成果を得られないこともあるので、あくまで一部の投資家層にあっているというように考えておくべきでしょう。

資産形成を後押しするNISAのつみたて投資枠には、このタイプの投資信託は採用されていないことからもお判りいただけると思います。

資産運用は、年齢やライフスタイル、資産状況により選択肢が変わってきますので、安易に目先の分配金の数字に惑わされることなく、FPや投資アドバイザーなどの専門家に相談しながら、ファンド選定をされることをお勧めします。

 

FPドットコムでも資産運用・資産形成についてのご相談をお受けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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